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パニック症とは?

(1)パニック症とは?

 突然、理由もなく息が詰まるような感覚に襲われ、心臓が激しく鼓動し、手足がしびれ、頭が真っ白になる。「このまま死んでしまうのでは」と思うほどの恐怖が波のように押し寄せる――そんな体験をしたことはありませんか?

それが「パニック発作」です。そして、そのような発作が繰り返し起こる状態が「パニック症」と呼ばれています。

 そして、この事で引き起こされる問題の本質は、「また発作が起きたらどうしよう」という“予期不安”にあります。発作そのものは、一度起こしただけで、繰り返していなくても、その時感じた強い恐怖感に対して、やがて人は、発作が起きた場所を避けるようになり、電車に乗れない、外出できないといった生活制限に追い込まれていきます。

 ですので、パニック症の治療には、パニック発作がなぜ起きたのかという問題、その原因について理解することと、その発作を恐れるあまり、それまで出来ていたことを避け続けていく回避の病理について理解していくこと、この二つが大切になります。

【パニック発作の原因は?】

 パニック発作を起こす原因は幾つかありますが、一番多くみられるのは精神的な強い疲労です。パニック発作を初めて起こされた体験について尋ねていくと、発作を起こす前に、多忙を極めた状況にありながらも、更に自分を追い込んで課題を遂行しようと、取り組み続けている事が多くみられます。パニック発作を起こす原因は幾つかありますが、そのほとんどは、この過度なストレス状況が続き、それでも尚無理を重ねようとしたときに起こる発作です。そして、これは、自分がこれ以上無理すると体を壊してしまうと、自分自身の神経系が感じて、自分の身体を守るために起こす緊急安全スイッチのようなものなのです。

 発作を起こすと、大抵、それまで予定していたことのほとんどをあきらめて、その日は休まれると思います。つまり、強制的に休息を取らせ、その原因となっていた強い心身の疲労を癒すことを行う事をしているのです。パニック発作は、それを起こすことで、一瞬にして、その人をしなければならないと思っていた諸々の出来事から解放させます。

 過度なストレスの持続は、もしパニック発作を起こさなければ、頭痛、腰痛、胃痛など身体の痛みの症状として続き、その結果仕事を休むことになるかもしれませんし、人によっては、うつ状態をその人にもたらして、うつ病を発症し、結果仕事を休むことになるかもしれません。また、過度なストレスの持続は、その方の免疫機能を衰えさせ、風邪をひいて仕事を休むことになるかもしれませんし、それが中長期続けば、癌細胞を排除する免疫機能も落ちてきて、癌が発症して、仕事を休むということになるかもしれません。

 強いストレスの持続に対して、パニック発作はとても、効率的、かつ『安全』に、そのやり過ぎている流れを止めるリセット方法にもなっているわけです。

 ですので、パニック発作を、何か得体のしれない怖い気持ちがわいてくる病気とみるよりは、自分を守ってくれる仕組みだと捉えなおしていく事も、大切な視点です。

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