【パニック発作で注意すること・過換気発作】
パニック発作は強い恐怖感を体験しますが、この発作で決して死んでしまうことはありません。体に何か不可逆な後遺症を残すこともありません。発作はあくまでも、一過性のもので、神経系に過度にストレスがかかり続けた結果、神経系がディスチャージを起こす反応として、起こしたものであって、繰り返すようなものでもありません。
発作を起こすと、それを繰り返しやすくなると考える研究もありましたが(*てんかん発作は、繰り返すと起こしやすくなります)、実際そのようになる事は少なく、むしろ発作があったからといって、何か重大な病気になったり、発作が繰り返しやすくなったりはしない事が強調されてもいます。ですので、基本的に発作はあったとしても気にする必要はないのですが、次のような場合は注意が必要です。
呼吸が大きく、激しくなっていく、過換気発作と呼ばれる状態です。過換気発作は、ときにパニック発作に合併します。そして、この早く大きな呼吸は、恐怖と連動して起きる症状なのですが、これによって多くの酸素を体内に取り入れて、心拍数が上がる事と合わせて、全身の筋肉に酸素の豊富な血液を早く循環させ、恐怖に対して、逃げ出せる(もしくは戦って安全を図る)ための全身の準備をしてもいるわけです。ただし、過換気発作には次のような問題が起こります。
【過換気発作を避ける呼吸法】
息を激しく、吐き続けていくと、血液中の炭酸ガスが肺からどんどんと抜け出していって、血液の酸性度が下がっていきます(呼吸性アルカローシスといいます)。すると、血液中のイオン類の動き方に変化が起きてくるため、とくに脳神経系の活動が低下していき、意識を失う事が起こります。意識を失って倒れてしまうと、ケガをする恐れがあるので、これだけは注意が必要です。
そのため、対策としては、息を、ゆっくり吐くことと、息を吐いたら、数秒間息を止めてこらえる(息を吐いたら4つカウントして止めて見ましょう)等、呼吸をコントロールするやり方を学ぶことが大切になります。
【パニック発作を、パニック症に拗らせないためには】
パニック発作は心身のストレスが限界を超えた時に自分を守るために起きる自然な反応だと考えると、問題はパニック発作ではなく、それが起きるようになった限界を超えた心身の過労状態にあります。なぜ、それを程、限界を超えるくらいに自分を追い込んでしまっていたのか。その状況の解決が必要です。もっと言えば、そのような状況に自分を追い詰めなければ、パニック発作は起こらないということです。
ですから、まず必要なことは、自分がどれほど強いストレスにさらされ続けていたかについて、冷静に振り返り、その解決を図るということが最も大切なことになります。
ただここで問題となってくるのは、パニック発作に伴う恐怖感はとてつもなく強く、自分のコントロールを超える衝動として体験しますので、それを体験すると、その恐怖を避けようと、その発作があった時の状況を避けるようになってしまうことです。外出中に発作を起こしていれば、外出への怖さが出てきますし、運転中に起きれば、運転することへの怖さが出てきます。つまり、本来、危険ではなかったものを、恐ろしいと思い込んでしまう事が起こり、様々な回避を始めてしまうことです。こうなると、生活のしづらさが加わり、更にストレスは増えていきます。ただ、ストレスから自分を守ろうと起きた反応だったパニック発作が、そのことを強く恐れ、生活の様々なことを避けるパニック症に拗らせていく事になります。
ですので、大切な事として、今まで安全にできていたことを、避けずに続けていく事。このことがとても大切になります。
