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パニック症とトラウマ

4)パニック症とトラウマ①

【パニック発作の原因・その2】

​ パニック症の原因は、このコラムの冒頭で説明したように、神経系の強い疲労が重なり続けた結果起こる、神経系のディスチャージのような発作であること。そして、疲労をしっかりとることさえできれば、発作は起こらないことを説明しました。

 

 しかし、時々、そのような自覚がなくても発作が起きる場合や、発作が繰り返される場合があります。いくつかの原因がありますが、その代表的なものをお伝えします。

安定剤の離脱 

 一つは安定剤の問題のところでも説明した離脱症状(禁断症状)です。ベンゾジアゼピン系の安定剤は、睡眠導入剤や自律神経作動薬等、色々名前が変わりながら利用されていますので、薬物療法だけで精神科治療をとしたときに、数種類同じタイプの薬が処方されているという方も多く見かけます。

 その際には、もう安定剤の依存になっている可能性は高くありますので、一日2-3回に分けて飲んでいる時、朝起きた後や、夕方や、寝る前など、薬の効果が切れてくる時間帯になると、何となく不安な感じが出てくるということが時々起きてきます。この場合には、薬を飲み続けている限り、この不安症状が出てきてしまうため、安全に離脱症状を避けながら薬を減らして止めていく事を、治療の中で行っていく事になります。

 

双極性障害 

 双極性障害を患っている方で、時にパニック発作を起こす場合があります。大抵は躁状態からうつ状態に切り替わる時や、うつ状態から躁状態い切り替わる際に、躁状態とうつ状態がまだらに混在したような時期が出てくるのですが、その時に時々パニック発作を起こされる方がいます。

 双極性障害で治療中に、特に何か環境変化が強くあったり、過労状態があったというわけではなく、パニック発作が周期的に起きる場合、躁状態とうつ状態の切り替わりの際に、何らかの神経系の強い疲労に似た状態が起きているのかもしれません。

 

PTSDの症状として 

 PTSDの症状として、フラッシュバック体験や、ずっと緊張が続いてびくびくした状態にある過覚醒という状態が続きます。このフラッシュバック体験の症状や、過覚醒状態で神経がずっと興奮している状態の中で、無理が高じてパニック発作を起こすこともしばしばあります。

 PTSDの症状であるならば、PTSDに特化した治療をしっかりと受ける必要がありますので、注意が必要となります。時に、クライエントは、その原因となった出来事の事を話さない(性被害や、幼少期の虐待被害など)こともありますので、原因がはっきりしないままパニック発作が繰り返されているのであれば、トラウマ記憶について留意する必要があります。

 

 また、パニック発作を誘発しやすい出来事としては、不眠、筋肉疲労、カフェインの摂取なども挙げられます。いずれも神経系の過度な興奮や疲労を誘発する状態と考えてよいでしょう。

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